Vol.08 防水性・耐震性を高めるため、建物のあらゆる隙間を正確に埋めていく。

シーリング防水工事作業 豊田 慈さん

防水施工技能士 1級
シーリング防水工事作業
(平成12年度取得)

豊田 慈さん

1972年生まれ

タワー・カンパニー研音 所属

防水施工技能士とは

シーリング防水工事とは、建物の防水や耐震性能及び熱伸縮の吸収性を高めるために、外壁部材同士の隙間(躯体とサッシの隙間、サッシと窓ガラスの隙間など)にシーリング材料を充填・接着する工事です。シーリング防水工事技能士は、そのような工事を行うための技能や知識を有する技能士です。

豊田 慈さんのお仕事

豊田さんは、高層マンションやホテル、オフィスビル、ショッピングモールなど大型建築物を数多く担当されています。規模の大きな建物になると、2年以上同じ現場に携わることもあります。

シーリング防水工事の仕事に興味を持ったきっかけを教えてください。

写真:豊田 慈

高校3年の進路を考えていた時期に、担任の先生の紹介でシーリング防水工事の現場を見学に行ったことがきっかけです。実際に見学をしたことで、シーリング防水工事は建物にとって必要不可欠な役割を担っているというところに魅力を感じ、「これを仕事にしたい!」という気持ちが湧きました。

技能士資格の取得までの経緯を教えてください。

写真:豊田 慈

職場の先輩は若いうちに資格を取得されている方が多かったので、私も刺激を受け、資格取得を目指しました。

実務経験2年以上から、2級の受検資格が得られるのですが、私は入社1年目の時に実際の技能検定試験会場の様子を見学に行きました。生で受検会場の様子を見ることができたおかげで、普段の仕事をどのように実技試験に活かしていくのか、具体的にイメージしながら日々取り組むことができました。

学科試験については、普段は扱わないような幅広い知識が必要となるので苦労しましたが、休みの日などを使って勉強を進めていき、平成12年に1級の資格を取得することができました。

1級の資格を取得して、何か変化したことはありますか?

自分の仕事に対する自信がつき、以前よりも責任を強く持つようになりました。1級技能士として見本になる仕事をしようという気持ちが自然と湧き、モチベーションの向上にもつながっています。また、1級の資格があることで、お客様により信頼感を持ってもらえるようになったと感じています。

お仕事の中で、特に心がけていること・気を配っていることを教えてください。

写真:豊田 慈

防水のために施している工事になるので、硬化接着前のシーリング材の中に気泡や異物が入らないように十分注意しています。万が一、気泡や異物などが入ってしまうと、伸縮性能や接着力が弱まったりと劣化が早まる原因になりますので、その場合は一度切り取って、再度施工します。

また、仕上がり部分は人目に付きますので、より丁寧な作業を心がけています。「きれいに仕上げるけれど、目立ちすぎてはいけない」という絶妙なバランスを保ちながら、建物の雰囲気に合った仕上げができるように努めています。

お仕事の中で、大変なこと・苦労することがあれば教えてください。

大きな建物を担当することが多いので、上の階まで階段を登ったり下りたりといった体力面で苦労することが多いです。また、形状が入り組んだ部位の施工をするときは、技術面で苦戦することもありますが、長いヘラを使うなど道具の工夫や、長年の経験から得たイメージを持って取り組むことで対応しています。

豊田さんがお仕事の中で「輝いている」と感じる瞬間を教えてください。

常に輝いていると思いますが、特に建物が完成したときは、その建物同様に私たちも輝いていると感じることができます。ほぼゼロの状態から建物に携わっているので、完成した時の喜びは格別です。

仕上がり検査後に、通常問題がなければそのまま進むところを、折り入ってお客様にお褒めの言葉を頂けたときも、非常に嬉しく感じる瞬間です。

シーリング防水工事の技能向上のために、日々努力されていることを教えてください。

写真:豊田 慈

私は普段の仕事を一つ一つ丁寧・正確に行うことが、技能向上に繋がっていると思って取り組んでいます。正確にできるようになると、自然と作業のスピードも上がってきます。

若い頃は、先輩と横並びで作業をさせてもらうことが多かったのですが、同じスタート地点から始めたのに、どんどん作業の差が開いてしまい、悔しく感じていました。ですが、焦る気持ちを抑えて、毎日の作業を丁寧・正確に積み重ねていくことで、徐々にその差も縮まり、自分自身が成長できていると感じました。今は後輩たちにも「まずは正確さが大事だよ」と伝え、お互い切磋琢磨しながら日々取り組んでいます。

また、作業が自己満足で終わらないように、お客様の意見を多く聞き入れることで、より理想の仕上がりに近づけるよう努めています。

豊田さんの今後の夢や目標を教えてください。

今後の目標としては、さらに多くの現場に携わり、自分がシーリング防水工事を担当した建物を増やしていきたいと思います。今でも、自分が関わった建物を見かけると、当時のことを思い出して、嬉しくなったりしますので、今後もそういった形で自分の歴史を残していきたいです。

最後に、これからシーリング防水工事技能士を目指す人へのメッセージやアドバイスをお願いします。

写真:豊田 慈

資格を取得することは自分の仕事への自信や責任に繋がるだけでなく、自分で考えて動けるようにもなります。毎日の積み重ねが大事ですので、辛抱強く仕事や勉強を頑張って、ぜひ資格を取得してください。

プロの道具~防水施工技能士編

 

落とし目地(写真右下)

落とし目地(写真右下)

仕上げ時に溝の深さを調整する道具です。

溝の幅は同じ建物内でも違ったりするので、その都度、落とし目地の先端部分をカットして大きさを合わせて使います。

豊田 慈さんのある日のスケジュール

7:45
現場に集合・朝礼
8:00
作業開始
10:00
小休憩
10:20
作業再開
12:00
昼休憩
13:00
作業再開
15:00
小休憩
15:20
作業再開
17:00
作業終了
17:30
片付けが終わり次第解散

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