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Vol.18 技能士の資格は現場全体のマネジメントにも重要な役割を果たす

鉄筋組立て作業/鉄筋施工図作成作業 久我 剛さん

鉄筋施工技能士 1級
鉄筋組立て作業/鉄筋施工図作成作業
(平成16年度/平成27年度取得)

久我 剛さん

1974年生まれ

大成鉄筋工業株式会社

鉄筋施工技能士とは

 ビルやマンションの骨格となる柱や梁は、鉄筋を組み立て、型枠を整え、そこにコンクリートを流し込んでつくります。鉄筋は引っ張りには強いものの錆びやすい性質があります。コンクリートは圧縮に強く引っ張りに弱い性質と、大気中の二酸化炭素とセメントの水和物である酸化カルシウムとが反応して鉄筋表面の不動態被膜を破壊して鉄筋の腐食を起こします。
 鉄筋コンクリート構造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート構造(SRC造)の建物は、こうした鉄筋とコンクリートの長所短所を組み合わせることで高い耐久性を得ることができます。
 建築工事における骨格をつくる鉄筋工・型枠工・現場の職人を守る足場をつくるトビを躯体三役と呼びます。

久我 剛さんのお仕事

 40歳頃には現場の作業を離れ、今は、会社が請け負っている現場全体の業務の管理、監督を担っています。
 現場の作業が図面通り正確に行われているか、工程表通りのスケジュールで作業が進んでいるか、現場責任者の段取りに無理や無駄がないか、人員の配置に過不足が生じていないか、大工工事など他の作業チームとの連携・調整が円滑に行われているか、安全確保の面で問題はないかなど高く、広い視野から業務を管理しています

鉄筋施工の仕事に関心をもったきっかけを教えてください

写真:久我 剛

 当社は、私で三代目になります。子供の頃から父や社員の仕事を見て育ってきましたから、後を継ぐのは当然だと思っていました。関心や興味というよりも、自然に馴染んでいたようなものです。
 それに、太陽の下で自分の身体を動かして働く爽快感が、何とも言えず好きでした。仕事を重ねるにつれて身体が鍛えられていくのも楽しかったです。コツも必要なのですが、100㎏くらいの鉄筋でも肩に担いで運ぶことができるようになるのです。

鉄筋施工技能士1級の資格取得までのことを教えてください

 建築の勉強を終え、ほかの会社で仕事をして、当社に入ったのは23歳の時でした。大した実務経験もないのに、いきなり2級技能士を受検することになり、現場の仕事で得た技能や知識をノートにまとめておくなどかなり勉強しました。道具を使っての鉄筋組立ての実技は、同じくらいの世代の受検者と競い合いながらやっていたので張り合いがありました。
 私にとっては、幼い頃から仕事を見てきたというのは大きな財産でした。何と言うか、仕事上の大きなアドバンテージです。
 その後、現場経験を積んで1級技能士の資格に挑戦することになりました。このときは、東京都の鉄筋業協同組合の講習会を活用しました。1級を目指す人はほとんど参加していますから、自ずと競争意識も湧きますし、一方ではお互いに情報交換したりして効果的に準備ができました。

技能士の資格を取って良かったのはどんなことですか

写真:久我 剛

 私たちの仕事は技能が命ですから技能の面でしっかりとした評価の裏付けがあることは一番大切なことです。自分の腕ひとつで仕事をする者にとって技能を認めてもらうことは基本中の基本です。何と言っても、信用に繋がるわけですから。
 それだけではありません。鉄筋組立て作業と鉄筋施工図作成作業の1級を取っていますが、特に1級技能士の資格が生きてくるのは、現場を広く見渡す立場の仕事をするようになってからだと思います。
 少し遠回りですが、鉄筋施工の大まかな流れお話しします。
 まずは拾い出し。これは、構造図、躯体図をもとに、施工に必要な鉄筋の寸法、形状、本数を割り出し、施工図を作成するものです。
 次の加工では、拾い出しで作成した加工帳をもとに、鉄筋を切断したり曲げたりします。こうしてできた鉄筋を施工現場に持ち込み、構造図どおりに1本ずつ正確に組み上げていきます。組み上げた鉄筋は、交差したり重なったりしていますから、そこをハッカーという道具と結束線を使って固めていきます。
 こうした仕事の中で、拾い出し、現場作業の段取り、配筋の指示などポイントとなる仕事に携わるのは職長と言われる責任者ですが、この職長の立場をこなしていくときにこそ1級技能士の資格がものを言うわけです。

仕事のやりがいはどんなところですか

写真:久我 剛

 二つの場面に分けてお話ししたいと思います。
 一つ目は、現場で汗水たらして働いているときのことを話します。鉄筋、型枠、とび・土工の仕事というのは、言ってみればいつも建物の屋上で仕事をしているようなものなのです。例えばビルの基礎工事が終わると、そこから(1F)ワンフロアーの鉄筋を組み立て、型枠をつくりコンクリートを流し込み、それが終わると、その上に次の(1F)ワンフロアーの躯体をつくっていくわけです。次第に積み重ねられてくる建物の屋上で、風や雨雪、真夏の日差しに晒されながらも、黙々と仕事を進めていくときの気持ちには、簡単には言えない心の張りがありました。
 二つ目は、現場の責任者として鉄筋の拾い出しをしていた頃です。自分が拾い出した鉄筋の形状や本数などが無駄なくぴったりあって、ゴミ一つ残さずに仕事を終えた時、それから、自分が建てた組み立て作業の段取りがスムーズに流れていった時、当たり前のように聞こえるでしょうが、そのような時は本当に良い気分です

仕事の難しさを教えてください

写真:久我 剛

 現場の責任者である職長としても、あるいは会社の経営に携わる一員としても、いつも感じるのは、人を使うことの難しさです。
 工事現場では、自社の社員のほかにも下請け企業から派遣されて来る人たちがいます。それぞれの技能のレベルが違えば、作業のやり方も違います。さらに言えば、自社以外の人たちは日ごとにメンバーが変わります。そういう人たちを束ねてチームとしてのコミュニケーションを保ち、施工上の指示を徹底し、しかも安全確保を徹底させるのは、いつも気を使います。

仕事で心掛けているのはどんなことですか

 今では現場の仕事ではなく、マネジメントすることが仕事の中心になっています。
 日中の仕事のほとんどは、同時並行で動いている20から30くらいの現場の施工状況が構造図どおりのクオリティで進むように検査・確認することです。1つの現場の検査には2~3時間くらいかかるので、移動時間も含めると1日2か所を回るのが精一杯ですが、建設作業が次の工程に移る前に設計図書どおりに鉄筋施工ができていることは絶対条件です。
 これと併せて重要なのが安全確保です。事故は起きてからでは遅い、未然に防ぐことが肝心です。そして、こういう話は、会議室で話すだけでなく、作業現場で作業員に直接話すことで伝えられる内容も多くあります。
 検査で現場を回るたびごとに、技能面の話と安全確保の話を必ずしています。品質事故も人身事故も起こさない。これが、常に心掛けていることです。

これまでの仕事で心に残っていることはなんですか

写真:久我 剛

 初めて職長として仕事をしたときと、現場を離れる直前の仕事です。
 職長としての初めての仕事では、2つの現場を同時に受け持ちました。どちらも鉄筋コンクリート構造の建物でしたが、一方はラーメン構造といって普通にイメージされる柱と梁で構成される建設現場で、もう一方は柱がなく壁で構築する壁式構造というものでした。鉄筋の拾い出し、施工の段取り、注意点など全く異なるものだったので、ずいぶん勉強しました。職長は現場の責任者ですから間違いは許されないのです。
 現場を離れる直前の仕事は、2棟の現場が重なっていました。技術の問題というよりも時間の問題で、図面どおり正確に仕上げるために休みなく気を使っていました。辛かったのかと聞かれると、気持ちも入っていて充実した時間でした。
 仕事には自分の全てを捧げないといけないときもありますが、それを乗り切った時の達成感は何物にも代えがたいものです。

いま力をいれていることは何ですか

写真:久我 剛

 ものづくりマイスターとして、高校生の指導に携わっています。ご承知のように、建設業は人材の確保に苦労していますから、若い人たちには、鉄筋施工の技術面の知識だけでなく、仕事のやりがい、重要性などもしっかり伝えていきたいと考えています。
 私自身の経験、先輩たちから教えられた心意気などを、若い人たちのハートに響く言葉で伝えていきたいと思います。
 とは言っても、何でもかんでも、手取り足取りで教えることはしないようにしています。私が伝えることによって理解してほしいことと、自分自身で考えてほしいことの兼ね合いを見極めながら話をしています。
 道具の使い方も知らない高校生が一生懸命に頑張っている姿を見ると、やはりこちらも応援したくなります。

後輩たちに伝えたいメッセージをお願いします

写真:久我 剛

 若い人の中には、仕事がつらいからといって直ぐに休んでしまう人がいますが、職場にとってだけでなく、その人にとっても残念なことだと思います。
 仕事は、休まず続ければ、必ず身につくものです。途中で諦めたりしなければ、今日できなかった仕事でも、明日には、あるいは明後日にはできるようになります。自分で考えただけでは分からないときは、遠慮なく先輩に教えてもらえば良いと思います。
 一生懸命やっていれば、誰かが必ず支えてくれます。顔を合わせるのも怖そうな先輩が、しっかり見守ってくれているものです。
とにかく休まず、諦めずに進んでほしいです。
 もう一つ。若い時は、どうしても気持ちが先走るというか前のめりになりがちですが、まずは自分の気持ち、技量、知識などを振り返り、自分の足元を固め態勢を整えてから事に当たることが大切です。現場でやっていれば仕事を覚えるという方法もあるかもしれませんが、まずは知識を習得して、基本の技能を学んでから現場に入るという姿勢は大切だと考えています。
 直ぐには実感しにくいかもしれませんが、心のどこかに置いてもらえたら嬉しいです。

プロの道具~鉄筋施工技能士編

 

道具の紹介

道具の紹介

中央の3本は曲げハッカーで、鉄筋の太さに応じて先端部分の形状が異なる。隣の黄色い道具はライパー。先端部分で鉄筋を曲げたり切断したりする。
ハッカーより上段は、上から鉄筋曲げ機、その下2つは鉄筋カッター。
ハッカーより下段は上から、鉄筋を細い番線で縛るのに使う結束ハッカー、カッター、折り尺。
一番下は鉄筋曲げハッカー。

久我 剛さんのある日のスケジュール

8:30 
事務所に出る(住居兼事務所兼加工場)
午前
現場の検査 ※構造図どおりに配筋されているか確認 ※建設部門の規則・安全管理の徹底 ※現場打合せ
移動
昼食
午後
現場の検査 ※現場の安全協議会 ※構造図どおりに配筋されているか確認 ※建設部門の規則・安全管理の徹底 
17:00
帰社
18:00
※仕事または組合等の集まりに出席

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