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2018年1月11日【レポート】小中学生と多彩な " 技 " のプロが出合う「おおさか ものづくりコレクション2017」

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小中学生と多彩な " 技 " のプロが出合う「おおさか ものづくりコレクション2017」

 11月26日(日)、ハービスHALL(大阪市北区梅田)では「おおさか ものづくりコレクション2017」(以下、コレクション)が開催された。このイベントは厚生労働省委託事業「平成29年度若年技能者人材育成支援等事業」の地域における技能振興の一環。今後の日本、そして地域社会を担う小中学生に、様々な技能士の仕事の素晴らしさを紹介し、技能継承の重要性について考えてもらうことを目的としている。おおさかものづくりコレクションを訪れた大勢の児童や生徒は、日頃はなかなか触れる機会のないものづくりの魅力を満喫していた。 IMG_5087.JPG
大阪の未来を担う子どもたちが、ものづくりと触れる貴重な機会
IMG_5098.JPG  コレクションは午前10時、幼稚園児による鼓笛隊の演奏を中心とする、賑やかなオープニングイベントにより開幕した。2013年に初めて開催されて以来、毎年開催されており、今年で5回目。来場者数は回を重ねるごとに増加しており、今回も開始時間前から参加者とその保護者による長蛇の列ができた。
 主催者である大阪府職業能力開発協会の寺田清美事務局次長は「"ものづくりの国"ともいえる日本の中でも、中小企業が集積する大阪は特に、製造業に携わる職人が多い都市です。しかし、やはり近年は子どもたちがものづくりの仕事に出合う機会が激減しており、結果として『技能士』が進路を考える際の選択肢となりにくくなっています。また、生活様式の変化によって、畳や襖などに関わる仕事が減少しているという現実もありますが、技能士の中には現代のニーズにマッチした商品を考案するなど、時代の変化に対応するための挑戦に取り組んでいる方もおられます。そんなものづくりと児童・生徒との良き出合いの場をこのコレクションで提供できれば幸いです」と語ってくれた。
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 大阪時計宝飾眼鏡商業協同組合が提供する「時計つくり教室」では、用意された座席を埋め尽くした児童らが黙々と作業に熱中していた。参加者らはまず、文字盤となる板に数字や絵を描いたり、シールを貼ったりと、思い思いのデザインを施していく。そうして仕上がった文字盤に、針とそれらを動かすムーブメント(動力機構部分)を取り付ければ、オリジナル置時計の完成だ。作業を指導しているのは、大阪府時計高等職業訓練校の現役訓練生やOBだという。「完成した時計はお土産として持ち帰ることができます。自分でデザインした、世界にたった一つの置き時計ですから、愛着が湧くことでしょう。
 最近は『スマホで時間が分かるから時計は要らない』という意見も耳にします。しかし一方で『親の形見だからなんとか直してほしい』と修理に出される方や、中には『お爺さんがつけた傷だけはそのままにしておいて欲しい』という注文をされる方もいらっしゃいます。子どもたちにはこの体験を通じて、時計はただ時間を見るだけの道具ではないんだ、ということも感じてもらえれば嬉しいですね」(大阪府時計高等職業訓練校 玉田寿夫講師)。 IMG_5127.jpg
 生徒らが呼吸を忘れるほどの集中力で石と向かい合っていたのは、大阪府印章技能士会が提供する「篆刻(石のハンコ)体験教室」だ。鉄筆という鑿(ノミ)のような道具を使って青田石という比較的柔らかい石に、自分の名前を金文体か篆書体(いずれも古代文字の書体)の白文(彫った部分が文字になる方式)で彫り入れる。
 例年、体験希望者が殺到することから、今回は2つ分のブースを使用したという。ちょっとしたミスで怪我につながりかねない作業であるため、「台の上に手を上げない」といった安全面の指導も徹底されている。「青田石は柔らかいといっても天然の石ですから、一つひとつ硬さが異なります。また、お子さんたちにとっては初めての体験ですから、上手く彫ることは難しい。そんなわけでなかなか思う通りのものはできないのですが、そのおかげで逆に、プロの僕らが見ても面白いものが出来上がるんですよ。 IMG_5247.JPG

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 実印や銀行印などに使うなら、既成のフォントや機械を使って彫ったキレイな文字でなく、手作りであることの方がむしろ価値がある。この体験を通じて楽しい思い出を持ち帰ってくれた参加者の中から、いつか印章技能士の門を叩いてくれる子が現れてくれれば」(同技能士会 吉澤優会長)。
 大阪府畳技能士会が提供していたのは「ミニ畳作り教室」。さすがに実際の仕事で技能士らが行うような「手縫い」をさせることは安全上も難しいため、タッカーと呼ばれるホチキスのような工具で畳表や縁(へり)を貼り付けていく。縁の柄はバリエーション豊富で、気に入ったものをチョイスできるのは大きな楽しみだ。出来上がったミニ畳は置物を据える台や写真のフレームとして活用できるという。「畳には防音性や吸湿性、安全性など、優れた点がたくさんあります。 IMG_5294.JPG
IMG_5286.JPG  一般に広まったのは明治時代以降のことで、世界的に見ても優れた床材といえるのですが、短い歴史の中で再び板の間(フローリング)に逆戻りしてしまうのは、私たち職人としても大変残念です。そこで私たちは畳表と色鮮やかな縁を使ったトートバッグを開発するなどして、畳の魅力の発信にも取り組んでいます。そういう意味では、このコレクションもお子さんたちに畳の良さを感じてもらえる貴重な機会だと考えているんです」(同技能士会 髙橋收会長)。

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 日本建築大工技能士会が提供する「丸太切り・かんな掛け体験」のコーナーからは、木材の爽やかな香りが漂っていた。丸太切りには杉を使用しており、切ったものは持ち帰ってコースター等に使うことができる。一方、かんな掛けには檜を使用しており、お土産となるかんな屑はお風呂に入れることで芳香を楽しめるという。 IMG_5338.JPG
「丸太切りでは、たいていのお子さんがノコギリを一生懸命に"押そう"としてしまうんです。そんな作業を見たこともないものだから"引いて切る"ということを知らないんですね。最近は大工でもあらかじめカットされた材木を取り付けるような仕事が増えてしまいましたが、そういう基本的な技術が失われていくことは、とても残念です。参加してくれるお子さんたちにはまず『大工さんってすごいな』と感じてもらえればいいと思っています」(同技能士会 大阪支部 溝口浩二会長)。
IMG_5367_2.jpg  男子児童らの心を鷲掴みにしていたのは、大阪府職業能力開発協会の「ヤスリで作る鉄のコマづくり教室」だ。小さな丸い金属板に開いた穴をヤスリで削り、軸となる棒を差し込むシンプルな作業だが、穴の削り方によっては軸が傾いてしまい、コマがうまく回らなくなってしまうのだという。指導にあたる同協会のコーディネーター・徳永昌孝さんは、かつて特殊産業用機械組立工として厚生労働省が認定する「現代の名工」に選ばれ、黄綬褒章を受章された熟練技能者だ。
 「現役の職人時代はDVDのディスクを製造する機械などの開発に携わりましたが、試行錯誤の結果、目指したものが完成すると本当に嬉しかったですよ。そんな気持ちを子どもたちにも味わってほしい。まずは『面白かった』という体験ができなければ将来の仕事に選んでもらうこともできませんから、適度に手伝ってあげて、成功体験を持ち帰ってもらえるように心がけています」 IMG_5153.JPG
 それぞれに熱い想いを持った熟練技能士らと、ものづくりの楽しさを満喫した小中学生たち。その出会いから、地域の産業を支え、高度な技能や伝統を継承していく技能士が誕生することを期待したい。

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